・イギリスのEU離脱が決定
2016年6月23日(木)に、イギリスのEU離脱が国民投票によって決定となりました。結果は離脱派が51.9%、残留派が48.1%で僅かな差で離脱派が勝利する形となりました。
今回の投票率は72.2%となり、昨年2015年5月7日に行なわれたイギリス総選挙(イギリスは選挙のない貴族層の上院議員と、選挙のある庶民層の下院議員が存在します)が66.1%であったことより、関心度が上がっています。今回の勝敗は僅か3.8%であったため、残りの27.8%の投票があればいかようにも変わる結果でした。これは残留派にとっては、非常に悔しい結果かと思います。
今回もやはり高齢者の投票率が高く、若年層の投票率が悪いということから、離脱支持が高齢者に多く、その年齢層の支持率がそのまま結果に現れています。EUを離脱することにより、若年層が一番長い間その影響を受けるというのに、投票していないのは勿体なさすぎです。若年層の政治の関心のなさはどこの国でも一緒なのでしょうか。(国が国民に政治の関心を持たせない、という仕組みを作っている可能性も考えられます)
※ちなみに、オーストラリアやシンガポールなど投票が義務化されている国もあります。
・EU離脱による影響はいかに
離脱が決定した当日に、すでに日本でも影響が出ました。円相場が1ドル105円から99円まで変動し(6月24日以降は102円台で推移しています)、日経平均株価も16,000円台から14,900円前後まで下落しました。
円高により輸入関連企業は儲かり、輸出関連企業は損をします。以下の財務省貿易統計より、日本の2015年度は若干輸入が多いことが分かりますので、単純に見れば円高により貿易益が上がることが予想されます。ここ5年は貿易益がマイナスになっていますので、プラスに転じることで別のマイナスを補填できると良いです。
- 外部リンク:■1950年~2015年の財務省貿易統計
ただ、株価の下落については、株式投資で色々と運用しているものがありますので、大きな影響を受けます。例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は年金運用を株式で行なっています。2014年10月に、安倍政権は年金運用の株式割合を、2割から5割に引き上げています。(国内株式12%→25%、外国株式12%→25%、外国債権11%→15%、国内債券60%→35%)
つまり、株式の価格が下がることで年金運用にも影響が出るということです。すでにニュースに出ていますが、世界的な株価の低下により、2015年度に5兆円の損失が出ているとのことです。先週末の株価低下により、損失は膨れ上がることが予想されます。週明けの株価がどうなるかが気になりますね。
いずれにせよ、年金運用を株式で行なうということは、リスクヘッジを正しく行なわなければ破綻するのは目に見えています。さすがに年金運用ということから、リスクヘッジは十二分に行なわれていると思います。年利の低い安定した株式で運用しているとは思いますが、国民側としては信じるしかありません。
・日本の参議院選挙に影響は?
影響はないと思います。それは日本国についても、国民投票の投票率は高齢者が高いからです。おそらくEU離脱の話についても、若年層より高齢層の方が興味関心があったのではないでしょうか。7月10日の参議院選挙については、ここらで若年層の投票率を上げてみませんか?投票したい候補者がいないのであれば、無記名投票でも構わないと思います。投票することで若年層の存在を示しましょう。
・国民投票は覆らない。それが民主主義。
イギリス国内において、再投票を求めるオンライン請願を署名した人数が270万人を超えたそうです。投票したのは誰ですか?投票しなかったのは誰ですか?国民自身ですよね。それで再投票など受け入れられるものではないですよね。結果から再投票したい気持ちも分からなくもないですが、これが民主主義です。(本当は得票率のある中での多数決というのがベストではあります)
今回の件を教訓に、次回以降は投票率(及び得票率)が上がると良いですね。よりよい生活のためには、まずは自ら政治に関心を持つことが肝心です。もしくは、国に頼らなくても生活できるようになることですかね。
以上、「EU離脱から学ぶ国民投票の重要性!意志のない投票で今後が決まっていいのか?」の記事でした。