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反物質とは何か?人工ニュートリノを使用し宇宙誕生の解明に前進

「反物質」というワード自体あまり馴染みのないものですがご存知でしょうか。つい先日、宇宙誕生時に反物質が消滅した謎が解明できるかも?というニュースが流れ、個人的にちょっと気になりました。

まずは反物質ってそもそも何?というところから参りましょう。

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・反物質とは

私たち人間を含め、様々なものは粒子の集まりでできた「物質」となります。粒子は物質を構成する最小単位のことを指します。粒子も配列の統計により次の2種類に別れます。

1.フェルミ粒子(電子、ニュートリノなど)

物理学者エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)に由来。スピン角運動量が半整数の値(1/2, 3/2, 5/2)をもつ。スピン角運動量は粒子の自転のようなもので、スピンの運動量と向きを表す。

2.ボース粒子(光子、ヒッグス粒子など)

物理学者サティエンドラ・ボース(Satyendra Nath Bose)に由来。スピン角運動量が整数の値(2/2, 4/2, 6/2)をもつ。

上記粒子には、正反対の電荷性質をもつ「反粒子」というものが存在します。粒子と同様に反粒子が集まると「反物質」として形成されます。大別すると、粒子は「電子、中性子、陽子」、反粒子は「陽電子、反中性子、反陽子」から構成されます。

・反物質が物質と接触するとどうなるか

大爆発が起きるとともに、物質も反物質も消滅してしまいます。これを対消滅と呼びます。そのため、私たちが住んでいる地球上には物質しか存在していないとされています。もし発見したとしたらとんでもないことになりますね。

ただ、この地球上で物質と触れ合わないことはないですので、反物質は意図的に作らざるを得ません。

・反物質はつくれるの?

反物質の生成には「真空の対生成」が考えられています。真空は目に見えない無数の物質と反物質が存在し、対消滅が繰り返されています。

そこに多大な電界を加える事で、物質と反物質を引き剥がし、反物質だけを取り出すという手法が真空の対生成です。ただ、この多大な電界というのが現状用意できないため、実現には至っていません。

映画でよくあるような、宇宙上で太陽光の光を集めて射出するようなレーザーがなければ反物質を取り出すことはできません。

大きな質量の反物質の生成はまだ実現していませんが、1995年には陽電子と反陽からなる「反水素」がはじめて生成されました。

生成したのは世界最大規模の素粒子物理学研究所である、欧州原子核研究機構(通称CERN:セルン、サーン)とドイツの研究チームです。2002年には日本を含む国際グループにより5万個の反水素が生成されました。

その際は保存するというところまでは行きませんでしたが、2011年には反水素を1,000秒以上保存することに成功しています。反物質を生成するだけではすぐに消滅してしまうので、保存方法についても徐々に研究が進んでいます。

・宇宙は対生成と対消滅からできた

宇宙が誕生した当初は、物質と反物質が半々で存在していたと言われています。では、なぜ物質だけが残っているのでしょうか。

それは、「反物質の寿命が物質よりわずかに短い」ということから物質だけが残ったと言われています。これを聞くと、私たちが存在しているのも奇跡といえます。

極端な例ですが、反物質100、物質100存在していたとします。対消滅によりお互い10ずつ減るとし、反物質は物質より1秒早く消滅してしまうとします。すると10秒後には物質がわずかに残ります。

経過時間(秒) 物質の残り 反物質の残り
1 100 90
2 90 80
3 80 70
4 70 60
5 60 50
6 50 40
7 40 30
8 30 20
9 20 10
10 10 0

・反物質が消滅した謎が解明できるかも

粒子と反粒子の性質の違いの解明が今まさにされようとしています。それも日本の施設でです。

茨城県那珂郡東海村にある「J-PARC」で粒子のニュートリノと反粒子の反ニュートリノを人工的に作り、295km離れた岐阜県飛騨市神岡町の「スーパーカミオカンデ」に発射します。これをT2K実験(Tokai To Kamioka)と呼びます。

地中を通っている間に、ミューニュートリノ→電子ニュートリノへと変化する現象(ニュートリノ振動)に着目し、粒子と反粒子の性質の違いを調べています。

2010年~2016年のデータより、粒子と反粒子では変化する確率に差があることが統計より分かりました。まだ信頼度が90%のため、確実と断定するにはもう少しデータを集める必要があります。

物質を構成する粒子と反物質を構成する反粒子の性質がわかれば、それぞれの寿命が明らかになります。そこで反物質の寿命が短いとわかれば、先の理論が解明されるというわけですね。

・補足1.ニュートリノ、反ニュートリノはどうやって作るの?

J-PARCにある陽子加速器から陽子ビームを射出し、電磁ホーン内部のアルミニウムにあてます。するとパイ中間子が発生し、反ミュー粒子とミューニュートリノに崩壊します。

反ミュー粒子はさらに、陽電子、反ミューニュートリノ、電子ニュートリノに崩壊します。反ミューニュートリノを同じくスーパーカミオカンデに向けて射出します。

電磁ホーンはニュートリノを増幅させるとともに、スーパーカミオカンデの方向に収束するという役割を果たします。

加速器はターミネーター3で見たことあるような。。
スーパーカミオカンデはX-MENで見たことあるような。。

■加速器


出展:https://j-parc.jp

■スーパーカミオカンデ


出展:http://nyuzen-h.nns.el.tym.ed.jp

→参考:高エネルギー加速器研究機構 ニュートリノの作り方

・補足2.T2K実験チームとは

T2K実験によりニュートリノ振動を研究するために作られたチームです。J-PARCで作成されたミューニュートリノをスーパーカミオカンデに打ち込み、ニュートリノの強度と変化を計測しています。

→詳しくはT2Kホームページ

・まとめ

調べていると興味深いことが出てくる出てくる。こんなとんでも実験をやっていることに驚きです。反物質を意図的に創りだすことができればエネルギー問題については解決できるでしょう。対消滅によりごく少量でも莫大なエネルギーを生み出すことが可能です。

反物質はそのSFのような性質からゲームや映画でもたびたび用いられています。

→使われているゲームや映画はこちら

宇宙誕生の謎が解明されるかどうか、ワクワクして待ちましょう。

以上、「反物質とは何か?人工ニュートリノを使用し宇宙誕生の解明に前進」の記事でした。

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